【医療ニュースPickUp 2017年10月26日】麻疹患者が国内を広域移動、感染研が注意喚起
国立感染症研究所(感染研)は2017年10月上旬、広域で麻疹患者発生のリスクが高まっているとして医療機関に注意を呼びかけた。
問題となったのは、富山市保健所と宮城県が発表した麻疹患者の発生報告。
麻疹に感染した20歳代の外国籍女性が、他人へ感染させる可能性がある時期に、国内を広範囲に移動したためだ。
この患者は、9月13日に成田空港から入国し、国内の広範囲を乗用車で移動。
10月5日に富山市内の医療機関で麻疹と診断された。
尚、女性の同行者も麻疹に感染していたことが分かった。
患者の滞在先は以下の通りだ。
成田空港に入国/宮城県大崎市、仙台市/青森市/群馬県邑楽郡千代田町/東京都渋谷区、荒川区、足立区、渋谷区、台東区、千代田区、新宿区、大田区、江東区/埼玉県東松山市/新潟県十日町市、長岡市、三条市/静岡県駿東郡小山町/愛知県刈谷市/奈良市/京都市/福井県敦賀市/富山市
また、この事例とは別に、9月下旬に関東地方・中部地方の複数の自治体からも麻疹患者の発生が報告されている。
感染研は医療機関に対して、発熱・カタル症状・発疹などの症状で受診した患者については麻疹である可能性を考慮した問診を行い、
- 患者に渡航歴・旅行歴・ 麻疹ワクチンの接種歴を確認
- 医療関係者のワクチン接種歴・麻疹罹患歴を確認
- 麻疹疑いの患者は事前に医療機関に電話して受診方法や受診時間を確認
- マスクを付けて受診する
など、感染拡大・発症予防を徹底するよう呼びかけている。
麻疹の潜伏期間は10~12日間。感染可能期間は、発症前日~解熱後3日までの間で、感染したら学校などは出席停止扱いとなる。
空気感染・飛沫感染・接触感染で感染し、最も感染しやすいのは発疹が出る前の発熱、咳、鼻汁、目の充血が見られる時期とされている。
発疹が出た後もしばらくは感染力があり、注意が必要だ。
コンサート会場や体育館など、同じ空間にいるだけで感染する危険性はあるが、予防接種を2回受けていれば、ほとんどの場合は感染を予防できるという。
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参考資料
国立感染症研究所 最近報告された麻疹患者に関する医療機関への注意喚起
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/measles/measles20171013.pdf
CareNet 麻疹患者の広域発生、「リスク高まっている」-感染研が医療機関に注意喚起
http://www.carenet.com/news/44872?utm_source=m1&utm_medium=email&utm_campaign=2017102000
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
今週に入り、「麻疹の広域発生リスク」に関するニュースが、さまざまなメディアで確認できるようになりました。
いくつかの都道府県ではすでに、麻疹感染者の報告があがってきているようです。
今回の記事の中に、日本地図を入れていますが、実はこの地図、感染症情報センターのサイトにある地図とは、少し違っています。
今回作成した地図は、当該患者さんが移動したとされる都道府県を全て赤で塗りつぶしています。
しかし、感染症情報センターのサイトにある日本地図では、青森県が塗りつぶされていません(それ以外はすべて同じです)。
どうやら、まだ「麻疹発症者の報告」が無いためのようです。
麻疹の潜伏期間を考えると、今回は青森県での発症者報告は、挙がって来ない可能性もあります。
それならば良いのですが、麻疹の感染力を考えると、まだしばらくの間は、注意しておくに越したことはないのかもしれません。
ところで、感染症情報センターのサイトには「ワクチンを2回接種していれば、ほとんどの場合、感染は防げる」という記載があります。
確かに、今の子どもたちの世代は、2回接種です。
しかし、麻疹ワクチンが2回になったのは1990年ですから、それ以前に生まれた年代は、1回接種もしくは未接種の人たちが大勢いるわけです。
昨年夏に、高熱・発疹の状態で、千葉県内のコンサート会場に訪れた麻疹患者の件がニュースになりましたが、その時は「(麻疹患者が)立ち寄った場所」が限られており、爆発的な感染拡大にはならなかったと記憶しています。
果たして今回の広域感染はどうなるのか。しばらく間、情報を追って行きたいと思います。
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